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2010-11

聖書の語る赦し - 2010.11.08 Mon

昨日の礼拝ではマタイ福音書18章21節~19章1節を読みました。
物語のテーマは「赦し」です。
イエスさまの譬えばなしの内容は以下のものです。

一人の僕がいた。
彼は王に1万タラントン(1デナリオンが一人の人が一日働いて得る賃金なので、1デナリオンを1万円と計算すると6,000億円!)の借金があった。
王は僕に「自分を売ってでも(奴隷となってでも)」返済するように迫る。
僕は王にひれ伏し、必死で返済を待ってくれるように頼む。
すると王は驚くべき決断をする。
僕を憐れみ(ギリシア語ではスプラッグニッゾマイ「自分の腸がねじ切れるほどに痛む」の意)、借金を帳消しにしてやる。
僕が王の前を退いて外に出ると、自分に100デナリオン借金している仲間を見つける。
彼は仲間の首を締めあげ借金返済を迫る。
仲間は「必ず返すから待ってくれ」と頼むが、僕は仲間を赦さず、彼を牢にぶちこむ。
この話を聞いた王は怒り、借金を帳消しにしてやった僕を呼び出し、「お前が頼むから憐れんでやったのだ。お前も仲間を憐れんでやるべきではなかったか!」と恫喝し、この僕も牢に入れられる

この話を読むときに、ヒントになるのは聖書の語る「赦し」というニュアンスです。
日本人は「赦し」を「水に流す、無かったことにする」と捉えがちです。
しかし、聖書の「赦し」のニュアンスは違います。
聖書の語る「赦し」とは「人前にさらされている罪を神さまが、自分にしか分からないところに隠す」ことです。
罪そのものはなくなっていない、水に流されていない。
神が罪を犯した者から取り上げてくださった(先の譬えばなしで言えば、帳消しにされた)が、罪を隠された本人と神さまは確かにその罪を、過去の出来事を覚えているのです。
その状態で再出発が認められた、これが聖書の語る「赦し」です。

ちなみに「罪」とは、法律にひっかかる事柄というよりも、神さまの御心に反することを指します。

再出発が認められた背後には、神(たとえ話では「王」)の「憐れみ」があります。
私たち(たとえ話では「僕」)を深く愛するが故に、私たちが心から悔い改め赦しを乞う姿を我がことのように共感し、期待してくださった。
「この者は過去の過ちを覚えている。もう二度と同じ過ちは繰り返さないだろうし、きっとこの過ちを通して、神の心を行う者となるだろう」という期待です。
過ちから学ぶことを神は期待しておられるのです。

たとえ話の僕は王の憐れみを無碍にしました。
借金の帳消しを単なるラッキー程度にしか受け止めず、自分のことを棚に上げて仲間に憐れみをかけませんでした。
それは神さまの期待を裏切る行為だったのです。

昨日のメッセージでもう一点、この物語から大切なポイントを学びました。
借金は帳消しになりましたが、借金そのものは無くなっていません。
借金の返済義務者が変わったのです。
王は僕の借金のために、一つの驚くべき行動に出ます。
王が自ら痛みを背負い、1万タラントンの借金は王が自ら引き受けたのです。
人々の罪を全て自分で引き受けたのです。
それが、イエスさまの十字架です。
このたとえ話を語ったイエスさまが、ペトロをはじめ、私たちの罪を全て引き受け、十字架にかかるのです。
19章1節でイエスさまは「ガリラヤを去り、ユダヤ地方に行かれた」とあります。
この箇所以降、イエスさまは復活後までガリラヤに戻ることはありません。
そして、ユダヤ地方とは、十字架の舞台であるエルサレムへの歩みです。
イエスさまはご自分の運命を恩着せがましく弟子たちに語ることをせず、沈黙を守って十字架へと歩んだのです。

私たちは神さまのこれほどの憐れみと赦し、イエスさまの十字架によって、今、愛され、救われ、再出発が赦されたのです。
こんな神さまに反抗ばかりする私たちのために、神は自ら痛みを負ったのです。

今月末から、今年のアドベント(イエスさまの誕生を待ち望む期間)が始まります。
今年のアドベントとクリスマスが、お一人おひとりにとって大きな意味を持つ時となりますように祈っています。
今年のクリスマスはどうぞお近くの教会で過ごしてください。
私たち久留米の教会も、あなたが来られることを待っています。
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福岡県久留米市にある久留米キリスト教会のブログです。
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